【天使の片翼】


ふいに、シドは、周りの空気が、一瞬にして凍りついたような気がした。

真昼の暑さで、体が焼けそうなくらいだというのに。


時間が止まったように、歩みを止めたソードの体が、わなないている。

いや、わななくというのは、正しくないだろう。


ソードが震えたのは、恐怖のせいではなかったから。

おそらくは、全身での、拒絶。


さえぎったシドの言葉の続きを、ソードは良く分かっていた。


カナン国の第二王女。

何も知らずに、安穏とその地位に居続ける、穢れを知らぬ少女。


会うことがなければ、まだましだったのかもしれない。

だが、すでに、出会いは果たされた。


嫌味な高飛車女なら、心の中で見下して、笑って許せたのかもしれない。



だが。