【天使の片翼】


懸命に働く蟻の群れを、横目で見下ろしながら、

ソードは、まるで幸福な夢を語るように、柔らかな笑顔を見せる。


「妻となってから殺した方が、両国の関係にひびが入って、おもしろいか?」


ゆるい巻き毛の入った、美しく明るい金の髪に縁取られた細い顎。

青りんごのような、薄い緑の瞳と、対照的に赤みを帯びた、艶やかな唇。


その笑みを見たほとんどの者は、彼が、非常に愛情豊かな、慈悲深い、

まるで、天使のような少年だと思うに違いない。


だが、シドは、これこそが、悪魔の微笑みだと、そう感じずにはいられなかった。


「妻うんぬんでは、ありません。

王女は、あなたの」


「黙れっ!」


天が咆哮するような、いかずちにも似た、ソードの声が、

シドの言葉を、完璧にさえぎった。