【天使の片翼】


屋根のついた外の渡り廊下には、ちょうど地面を二分するように、きっちりと光と影の道がのびていた。


地面には、二人に平行して歩くように、蟻の群れが、きれいに列をなしている。


なぜか影を避けるようにして、ソードは、わざわざ熱い直射日光の下にさらされながら歩いた。


「シド」


体温の感じられない、呼びかけに、はい、とやはり、そっけない声が返事をする。


「お前、

どうして、あの女を殺さなかった?」


ソードの斜め後ろ、影の道に体を置くシドの顔は、はっきりと見えない。


「お前の肩の怪我。

まさか、あの女にやられたってわけじゃないだろう?」


「・・いえ」



・・あの、まだまだくちばしの黄色い、姫君の騎士の方に、ですよ。



自分の正体に気づいたはずなのに、抗議する事もせず、ファラを背に庇った少年を思い出して、

シドは、薄い笑みを口元に刻んだ。