【天使の片翼】


ファラが、シドの胸に手を付き、離れようとした刹那、

彼女の耳元に、熱い息がかかった。






『唇の手入れは、うまくいったようだな。

今度、味見に行くかな』





シドの唇が、ほんのわずか吊り上がり、試すような瞳をしたように見えたが。

すぐに、柔らかな笑顔に隠された。


シドは、ファラとソランに一礼をすると、ソードを連れ立って、去っていった。



あっけに取られる、ファラを横目に。