【天使の片翼】


「・・あっ、ああ」


ファラが剣を使えたことが、相当に衝撃だったのか。

それとも、ソランが飛び込んで、シドの剣を防いだのに驚いたのか。


あるいは、その両方か。


ソードは、ため息をもらすように答えた。


「では、王子もそろそろお部屋へ戻って、お着替えを」


シドは、笑みを絶やさず、優雅に腰を折り、お辞儀をする。

あまりにも柔らかな、その物腰。



・・別人?



ファラは、確信が持てずにいた。


シドという、この男は、顔だけ見ると、どうみてもあのときの男に違いない。

城下町の宿に泊まった晩、自分が傷の手当てをした、あの男だ。



でも・・・。

この方が、あんな強引な事をなさるかしら。



無理やり、女の唇を奪うようなこと。