【天使の片翼】


「あら、大言壮語かどうか、やってみればわかるわ」


ファラの言葉に、ソードだけでなく、ソランもむっとした。


何のために、自分が補助したと思っているのか。

人目がなければ、怒鳴って反省させるところだ。


「女が、剣など振れるものか!」


つい感情的になって、ソードが叫んだ。


「もし私が、あなたに勝ったら、どうします?」


いつになく、挑戦的なファラの態度に、ソランは、頭を抱えた。

多分、自分に関心のないソードの気を、無理やり引こうと考えているのだろうが。

あまりにも、無謀すぎる。


「ひ、ひめ・・様。どうか、おやめください」


二人のやり取りに、レリーは胸の前で手を組み、小さくなって震えながら、

それでも、腹をよじって、精一杯、制止の声を上げた。


レリーは、ファラが怪我をすると思って、怯えているのだろうが、

彼女の剣の腕を知っているソランは、別の意味で震えがくる。


婚姻が不成立になるだけならまだしも、万一、ファラが、ソードに怪我でもさせたら、

戦に発展する可能性だって、あるのだ。