【天使の片翼】


気づけば傍にいて、物心がつくよりも先に、好きになっていた。

残念ながら、それは、一方通行の想いではあったけれど。


ファラが、違う誰かのものになるとわかったところで、

自分の想いを捨ててしまえるほど、この15年の歳月は、薄っぺらなものではなかった。


ソランは、ファラの髪を、一房救い上げる。

ファラに熱いまなざしをおくると、掌に感じる柔らな髪の毛に、そっと唇を寄せた。



・・君が幸せなら、それでいい。

僕は、一生、影から君を守るから。



カルレインに命じられたからでも、

命を狙われる幼馴染に、同情したからでもなく、

ソランは、自ら、男として、愛する女を守ると、固く心に誓った。