【天使の片翼】




・・ファラに、命の危険があるということ。



自分を信用して、ホウトまで寄こしてくれたカルレインに申し訳なくて、

ソランは、自分の頭をかち割りたい気分になった。


まったく自分は、抜けている。

兵たちをたたき起こして、男を追いかけ、不案内な街中を疾走した結果が、これだ。


もしもあれが、二重の陽動策だったら、手薄になった宿に、賊がしのんでいたかもしれない。

そうなれば、今頃。


そう考えて、ソランは身震いした。



・・そうだ、ファラは?



ソランは、慌てて、廊下へ飛び出すと、隣の部屋の扉を乱暴に叩こうとして、思いとどまった。


ファラはもう寝てしまっただろう。

明日は、城へ上がるのだから、起こすのもかわいそうだ。


ソランは、大きく深呼吸すると、

音がしないように、ゆっくりと扉を開いて、ファラの部屋の中を覗き込んだ。