【天使の片翼】


ファラが夢の中へと誘われている頃、彼女の幼馴染であるソランは、

部屋の中をうろうろと歩き回った末に、ついに舌打ちをした。



・・くそっ!

あの不審な男を取り逃がすなんて、

俺は、なんて馬鹿なんだ!



宿に入ったことに安堵して、見張りの一人も立てなかったのは、自分の失策だ。

たまたま目が冴えて、眠れなかったから良かったようなものの、

もしも、ぐっすり眠り込んでいたら、どうなっていたのか。



『ファラは、ホウト国では、あまり歓迎されないかもしれないから、

よろしく頼むぞ』



それは、カナンを出る際に、カルレインにかけられた言葉。



『兵士の腕は、少数精鋭で、選りすぐりの者をつける。

だが、それもホウト国につくまでの間だ。

それ以降は、お前を除いて、全員帰らせる』



通常なら、相手の城に残すのは、侍女だろう。

兵士を残すということは、相手の国を信用していないと公言しているようなものだ。


ところが、カルレインは、侍女の代わりとして、ソランをつけるのだと言う。


それは、つまり。