【天使の片翼】


男は、ゆっくりと寝台から起き上がると、左肩を押さえて、呻いた。


「まだ、動かない方がいいわ!」


ファラは、男の正面に、かがみこむような姿勢で、男の体を支える。


その瞬間。


たった今、男の傷を押さえたはずの右腕が、ファラの腕を捕らえ、

彼女の体を、男の胸の中へと、引きずり込んだ。


何が起こったのか考えるどころか、悲鳴を上げる暇さえない。


男は、そのまま、ファラのうなじに掌を乗せると、

彼女の唇に、自分のそれを重ねた。


触れるだけの、口付け。



・・なっ!



ファラが抵抗すると、拘束はあっけなくとかれた。


「な、何するの!!」


「ん?

何って・・・。

もちろん礼だ。手当てをしてくれて、助かったからな」