復讐だけを糧に生きてきた自分が、こんな風に感じていることが不思議だった。
自分は復讐をすべき者。憎む事を許された者。
そのことに何の疑問も感じなかった。
だから、復讐すれば、今度は自分が復讐される側になるということに考えが及ばなかったのも当然だろう。
・・馬鹿な話だ。
男はぼろくずのようになった布きれを握り締めると、自分の腰の帯に差し込むようにして巻いた。
あの時、雌雄を決した崖の上で。
そこから落ちた自分に手を差し伸べた少女。
心の底から自分を心配していることが窺える顔で。
この少女に憎まれるのだと思ったら、急に怖くなった。
カルレインを憎みながらも、彼女を救いに来てほしいと願っていたのだと悟った。
そうすれば、全てを許せる気がした。
多分、あの砂漠でカルレインがファラを助けに来た瞬間から、
自分の復讐は失敗に終わることが決まっていたのだ。


