【天使の片翼】


すべての紙が燃え終わると、男は炎の始末をし、そっと立ち上がった。

窓を少し開いて空を眺めると、ひときわ明るい星が目に飛び込んでくる。

その周りを小さな星が取り囲み、会話をするように瞬いている。



・・あれが、妻で、あれが子どもたちだとすると。



男は目を閉じた。

気持ちの良い夜風が、男の頬をすっと撫でていく。



・・俺は、この闇夜のような大空になりたい。



不意に、男の心に浮かんだ望み。


薄汚れた闇の部分は自分一人が引き受ければいい。

愛する者たちがいつまでも輝けるように。


男は首をめぐらせた。


見上げた空は、

どこまでも、広く、深く--。