それは、前王ベリウスの統治時代、リリティスに仕えていたレリーの母、アリーからの手紙であった。
男はそれを開いて、中身にざっと目を通す。
そこには、リリティスの叔父ベリウスの命令によって、自分がリリティスの世話をしながら見張りをしていたこと。
リリティスが目の病にかかったと知りながら、医師の治療を受けさせなかったこと。
ノルバス国が攻め入るときき、リリティスを置き去りにしてベリウスたちとともにホウト国へ逃げたこと。
そして自分が犯したそれらの罪を今でも悔やんでいることなどが、切々と綴られていた。
それらを読みすすめるうちに、いつしか男の眉間には深いしわがよった。
・・勝手な事を。
自分が病で長くはないこと、ホウトで頼るあてがないこと、娘をカナンの城で働かせてほしいことなどの要望で終わっているその手紙を、
カルレインは勢いよく破くと、他の報告書と同じように炎の中にくべる。
からからに乾燥したそれは、真ん中に黒い穴が開いたかと思うと、あっという間に炎の洗礼を受け、真っ黒な墨と化した。
・・聡い娘で助かったな。


