大小さまざまな星ぼしが、独自の輝きで濃紺の夜空を飾る頃、
カナン城の執務室の机の上では、赤々とした炎が暗い部屋の中を照らしていた。
・・もうこれらは、必要あるまい。
ビリビリと紙を引き裂く音がやむと、小さくなった紙片が次々と炎の中にくべられていく。
びっしりと細かい文字で埋められている紙は、鷲の足に結び付けられることを考えられてあまり大きなものではない。
思えばこれらの報告書にはずいぶんと助けられた。
ソードの境遇に関してのみならず、城の中の人間関係についてこれほど的確な報告ができるのは、
長い間、下働きで勤めたからだとも言えるが。
男は少女が寄こしたいくつかの手紙を破りながら、ふと『リリティス様へ』と書かれた文面が目に入った。
『お元気でいらっしゃいますか?
私は、以前リリティス様にお仕えしておりましたアリーでございます』
・・レリーの母が寄こした手紙か。


