絶対に許さない、そう思ってソランに背を向けようとした刹那、
ファラの腰が、ソランのたくましい腕によって引き寄せられた。
離れようとしたのに一瞬にして縮まった距離に、ファラは文句を言おうと口を開いた。
「ソラン!いい加減に、ん!」
ソランに口付けられているのは、すぐにわかった。
感じる熱も拘束された体も、全てが結論付けられた答えで、疑問を挟む余地もない。
それでも、心がすぐには現実のことだと受け入れない。
こんなにも厚い胸板だったろうか。
こんな風に強引に口付けるような情熱を、一体どこに隠し持っていたのだろうか。
ソランから放たれる大人の男性の匂いに、ファラはあっという間に酔わされてしまった。
永遠のようにも、一瞬のようにも感じた時間が流れると、
きつく締め付けられていた腕の力がゆっくりと緩んだ。
「ソ、ソラン」
「ファラから口付けてもらうのもいいけど、それじゃあいつまでも尻に敷かれっぱなしだからな」
「ば、ばか」
口では罵ってみても、ソランの腕の中にすっぽりとおさまり抵抗もしないファラの言葉に説得力はない。
「ファラは、僕が守るよ。他の誰にもその役目は譲らないから」
ずるい、とファラは思った。
お互いの息づかいが感じられるほと近くの距離で、
誰よりも柔らかいその笑顔を向けられては、両手を挙げて降参するしかない。


