【天使の片翼】


数人の侍女が城の廊下で見詰め合う二人の姿を遠目に見ては、

意味深な笑みを浮かべてその場から引き返した。


「私は、ちょっと散歩してたの。ソランは街の見回りから帰ってきたところ?」


「よくわかったな」


「え?ええまぁ、なんとなく」


ファラの視線が宙を泳ぐ。

ソランたち一行が街から戻ってきた姿を目にして、部屋を飛び出してきたことは、

なんとなく言いそびれた。


「レリーが走って行ったようだけど」


「うん。なんかソードを探してたみたい」


「ふうん。あの二人もうまくいってるみたいだな」


カナンに慣れたようだ、という言葉を省いたせいで、ソランの言いたいことは正確に伝わらなかった。



・・なんだ?ファラの顔が赤くなった?



暑いせいか?とソランは思った。

確かに今日は、蒸し暑い。街を一回りしただけで汗が吹き出すほどに。