【天使の片翼】


木々の梢が、さわさわと音楽を奏でる。


「僕は、強い男になれると思うか?」


囁くように、耳に届いた声はどことなく切なくて。


「はい、もちろんです」


波打つ心臓の音を意識しながら、レリーは心のままにこたえた。


「ソード様なら、必ずなれます」


「レリー」


ソードは、レリーの体に回す腕にきゅっと力を込めた。

瞬間的に、レリーの体が強張ったのが背中から伝わってくる。


いつだったか、ファラが言っていた。

言葉には魔力が宿るのだと。

レリーにできると言われたら、それは明日にもかないそうな気がして。


レリーの背中を自分の体に密着させると、彼女の肩にもたれかかりお休みを言うようにつぶやいた。


「ずっと、僕のそばにいるんだぞ。

ずっと」


「はい。いつまでも。ソード様が望む限り」


さわやかな風が二人の間を通り抜けても、一つになった心の間までは通り抜けられそうもない。

お互いの体温を感じながら時間がたつのも忘れ、二人はその場所にとどまった。