【天使の片翼】


なんとか血の止まった肩に、ファラは、自分が裂いた衣を巻きつけて、

とりあえずの応急処置を終えた。


男の言うとおり、幸運にも、急所は避けられていたようだ。


「本当は、ちゃんと消毒した方がいいんだけど・・。

人を起こして、騒ぎにならないほうがいいのよね?」


男が迷惑がらないなら、皆を起こしてもいいのだが。


「これで、充分だ。手当て、うまいな」


先ほどの話からそれたことと、男に褒められたのが嬉しくて、ファラはにこやかに口を開く。


「父様にね、教えてもらって」


「父様?」


男の鋭い眼光が、急に、いっそう強い輝きを放った。

まるで、獲物を前にした、野生の獣のように。