【天使の片翼】


露台への窓が、きちんとしまっていなかったのだろう。

風に揺られて、キィキィと、小さな音をたてた。


「話したければ、聞くけど・・・。

話したくないことを、無理やり聞くつもりはないわ」


ファラの真摯なまなざしを受けて、男は虚をつかれたように、慌ててそっぽを向いた。


「・・怒らないのか?」



・・俺は、どうして、こんな余計な話をしているんだ。

さっさと目的をとげればすむことなのに。



男は、考えのまとまらないまま、次の言葉をこぼした。


「俺が、お前の初めてを奪ったこと」


だから、それはっ!言いながら、ファラは、一瞬で首筋まで真っ赤になる。



・・本当に、そういう種類の女なんだな。



男は、綺麗な箱に、大事にしまってしまったものを、取り出しそうになって、

慌てて、蓋の上に飛び乗った。


厳重に鍵をかけて、心の奥底に、保管してあったのに。


一生、開くことなどないと思って。