【天使の片翼】


「?」


ファラの不思議そうな顔を見て、男は、さらにおもしろいといった具合に、にたにたと笑う。


「お前の唇、荒れて、がさがさだったぜ?

もうちょっと、手入れをしたらどうだ?」


「なっ?!」


一瞬で、ファラの顔は、真っ赤に染まる。

男の言葉の意味を理解した今、

馬乗りになった自分の状態に、改めて羞恥心が湧いてくる。


大急ぎで男から降りると、寝台の脇に跪いた。



・・やだっ!

私ってば、何やってるのよ。



思わず、男の唇に視線をやってしまい、ファラは、頭が沸騰しそうだ。


自分から手を離したファラを、男は、顔だけ回して、観察するように見つめている。


それから、ファラの心の奥を覗き込むように、低くつぶやいた。


「・・・何も、聞かないのか?」