【天使の片翼】


「まさか、この俺が、女に押し倒されるとはな」


男の言葉に、ファラは、むっとして眉をひそめた。

その間も、傷口を圧迫することは忘れない。


「ちょっと!

変なこと言わないでくれる?私は嫁入り前の、大事な体なんだから」


私は、あなたの傷の手当てをしてるだけです、と、ファラの体に力が入る。


押し倒されて、観念したのか。

男は、抵抗せず、ファラにされるがまますっかりおとなしくなった。


・・口以外は。


「ふう、ん。

・・大事な体、ね」


男の妙な間の取り方に、ファラは、じろりと彼を見下ろす。

男の黒い瞳に自分の姿が映ったのを見て、ファラは、思い出したように心臓が跳ねた。


「な、何よ?」


「ひょっとして、俺が初めてってわけか」


男の唇が、片方だけ、非対称につりあがる。