【天使の片翼】


「あ!

あなた、怪我してるのね?」


男は体をかがめたまま、ファラをねめすえるように見ている。



・・どうする?



この男が、追われていた理由はわからない。

でも。


ファラは、ふらつく男に近づくと、男の脇の下にすっと体を滑り込ませた。

自分の肩に男の腕を巻きつかせると、歩けるわよね?と声をかける。


「何の・・まねだ」


男は、絞り出すような声を出す。

どうやら余裕に見えた態度は、彼の精一杯の虚勢だったらしい。


「手当てをするのよ。

けが人を放っては、おけないでしょ。

心配しなくても、人を呼んだりしないから」


ファラは、端的に答えた。

危険な人物であるのは、充分承知のうえだ。


それでも。

やはり、怪我をした男を、そのまま放置することは、ファラにはできなかった。