【天使の片翼】


「そのことで、あの子ときちんと話をしたのですか?」


帰ってきてから、自分の妊娠している姿を見て、ファラは開口一番おめでとう、と言ってくれた。

今までと何一つ変わらない態度で。


ファラの心を考えもせず、生まれてくる赤ん坊のことに頭がいっぱいで、

寂しい思いをさせたのではないか。


ホウト国で辛い思いをしたはずなのに、自分に気を使って大丈夫と微笑んだ娘。

もっとよく話を聞いて、抱きしめてやればよかった。

いいや、今からでもそれは遅くないはずだ。


自分のいないところで、密かに枕を濡らしているのではないかと、リリティスは胸が痛んだ。


「実は、そのことで、ちょっと頼みがあるのだが」


カルレインの形の良い唇が、リリティスの耳元に寄せられると、小さく動いた。


「えぇ?本気ですか?」


リリティスは思わず大きな声を上げた。

とても正気の提案とは思えない。


「あの子供たちには、見せてやるべきだと思うんだ。

それが、どんなに神秘的で、美しいかって事をな」