【天使の片翼】


しかし、男の腕はファラがほんのわずか動くことも許さないほど、

満身の力を込めて、彼女を拘束していてる。

まるで磁石のようにぴたりと合わさったまま、離れようとしない。


唇に感じる柔らかい感触も、さっていくどころか、ますます強く押し付けられる。


ファラは頭がしびれて、しだいに力が抜けてきた。



・・もう、だめ。



ついには、思考までもを奪われて、ファラは抵抗する事をやめ、男に体を預けた。


「・・んっ」


唇から、妙に色気のある声が出て、まるで自分の声ではないみたいだ。


膝が折れて、地面にうずくまりそうになったとき、

男が唇を離して、両腕でファラの体を支えた。


かろうじて、地面に這い蹲るのを免れたファラは、

すっかり息が上がり、言葉を発することも出来ない。