【天使の片翼】


ソランは気乗りしない風だったが、王の言葉に逆らうほどでもないと思ったのだろう。

少し考えてから、口を開いた。


「王女が輿入れするというのに、いくら少数精鋭とはいえ、たった10人の小隊な上、

婚礼道具も何もなしでしたから。

結婚だとか、婚約だとか、ただの顔見せだとか、話もなんだがあいまいでしたし、

なにより・・・」


そこで、ソランは、言葉を区切った。


「なにより?」


正直に言っても良いものか、逡巡してから、言葉を選ぶ。


「王が、ファラ様を、そう簡単に手放すとは思えなかったので」


親ばかなので、とはさすがに言えない。

いくら、鷹揚だとはいえ、相手はこの国の王だ。


「そうか?

俺は、腹の底で別の何かを考えていたかもしれないぞ?

ファラをきっかけに、ホウト国を我が手にしようとしたのかも」


カルレインは、頬杖をつくと、にやりと口の端をつりあげた。


「それは、そうかもしれません。

でも、カルレイン様は、わかりやすい方ですから」