同じ頃、カルレインの執務室では、ソランがホウト国から帰国するまでの旅路やその他もろもろについて報告を行っていた。
大きな執務机に腰掛けたカルレインの後ろでは、彼の護衛である男が、
息子であるソランが失敗をしでかさないかと、心配そうな面持ちでそわそわと落ち着かない。
その少し奥にある長いすには、お腹の膨らみが目立ち始めたカルレインの妻リリティスが、
ソランの言葉を聞き漏らすまいと、真剣な顔をして座っている。
太陽を背中に受けたカルレインは、ソランからの報告を受けたあと、
ご苦労だった、とソランの労をねぎらってから、話題を転換した。
ところで、ソラン、というカルレインの声に、背を向けて部屋を出ようとしていたソランが、
再び向き直り、はい、と返事をする。
「お前、いつから気づいていた?」
「いつから、と言いますと」
「とぼけるな。俺がファラを嫁にやる気がないって事にだ」
カルレインの言葉に、リリティスは、え、と声を上げそうになった。
確か、ファラ次第で、ホウト国に嫁がせると、そう言っていたはずなのに。


