【天使の片翼】


小鳥のさえずりが、部屋の窓から聞こえてくる。

音楽を奏でるようなその声に、ファラはしばし耳を傾けた。


こうしてカナンの地を再び踏みしめることができたことに、ファラは心から感謝した。


自分がお茶を飲むのを、近くに控えたレリーが優しく見守っている。


「レリー。もう体はすっかりいいの?」


慣れない旅に、初めての国。

色々な気苦労が重なり、疲れが溜まっていたのだろう。

熱を出して3日前まで倒れていた事を指して、ファラは念のためにそう訊いた。

レリーのことだから、無理をしているのではないだろうか。


だが、レリーはかえって恐縮してしまった。


「はい。もうすっかり。

ファラ様には、本当にご迷惑をおかけして」


何度あやまらないでいいとファラに言われても、やはりレリーはいつもと同じように俯いた。


「何言ってるのよ!私が助かったのは、レリーのおかげなんだから。遠慮しないで」


そう言ってから、ファラはふと心にとめていた疑問を口にした。


「そういえば、レリーは、一体いつから父様と連絡を取り合っていたの?」