【天使の片翼】


「すまなかった。

その、もしお前、いや、ファラがまだ僕にやり直す機会を与えてくれるなら。

仲良くしてくれないか」


空耳に違いない、とファラは思った。

ソードの口から、そんな言葉が出るはずがない。

絶句していると、ソードは肩を落として俯いた。


「やはり、口もききたくない、か。

それはそうだな。僕は、あんなひどい事をしたんだから」


はっとしたファラが、顔を上げる。


そこにあるのは、長い睫が伏せられ、唇が歪められたソードの顔。

傍に寄り添うようにして、ソードの背中に回されたレリーの細い腕。


自分の隣に座るソランを見ると、にっこり笑って頷かれた。

とたんに、ファラの顔が輝きを取り戻す。


「あの!私のほうこそ、よろしくね。ソード」


はじかれたようにファラに向けられたソードの顔は、今までと違い、年相応に幼く見えた。


「あ。よ、よろしく、お願い、し、ます」


心配そうに見つめていたレリーの顔にも、生気が宿っている。


「ありがとうございます!ファラ様」


並んで下げられた二つの小さな頭を、ファラは勢いよく、ぽんぽんと叩いた。