【天使の片翼】


複数の足音が、まさに、自分たちのいる、路地に入り込んできた。


ファラは、耳だけを、慎重に背後から聞こえる足音へと、集中する。

視線は、男を見据えたまま。当然、構えもとかない。


じょじょに近づく人の気配。

まさに、複数の灯りで、その場を照らされた瞬間。


男は、ファラの腰をさらい、一瞬で体を密着させた。



・・うそっ?!



今、起こっている現実を、ファラは、どうしても認識したくなかった。


今度は、油断などしていない。

剣だって、抜くつもりで構えていた。


それなのに。


男の片腕は、自分の腰に回り、紙を挟む隙間さえないほど、

二人の体が重なり合っている。


もう片方の手はといえば、ファラの後頭部に回り、動かないように固定され。


「んんっ!」