【天使の片翼】




・・今の俺に、選択肢はない!



復讐をあきらめる理由などどこにもない。

そんなことをすれば、イリアの命の重さを、誰が証明してやれるというのか。


「うおぉ!」


カルレインが正気に戻らぬうちに、一気にけりをつけてやる。


すばやい動きで踏み込むと、シドは、カルレインの心臓めがけて、剣先を伸ばした。

かわす間がないと判断したカルレインは、剣の平で、シドの剣の切っ先を受け止める。

衝撃で、シドの腕に痺れが走った。

その隙を、今度はカルレインが見逃さず、剣を回転してはらいながら、シドの柄へと深く切り込んだ。


「ちっ!」


舌打ちをして、シドは体勢を立て直す。

避けた手袋の隙間から、滴り落ちる赤い血。

冷えた手が麻痺しているのだろう。

それとも、興奮しているせいなのか。痛みは感じない。


お互い、一歩も譲らず、勝負の行方は神に委ねられた。