【天使の片翼】


「なんだと!?」


一瞬気をそらしたカルレインの隙を見逃さず、シドは、合わさった剣を一度大きくはじくと、

すばやく後ろに下がって間合いをとった。


「なぜそんな事を、お前が知っている」


動揺した表情を浮かべるカルレインは、敵と向かい合っている最中だというのに、

背後にいるファラに、ほんのわずか、顔を向けた。

明らかに、ファラの様子を気にしている。


その態度に、シドは、それが事実である事を悟った。

すぐ脇に弓を構えたままのソランにも、しっかりとその会話が聞こえたのだろう。

同じように目を丸くして、ファラの方を振り返る。



・・ひょっとして、自分の娘でない事をファラには秘密にしていたのか?



カルレインが見せたのは、ファラが口を滑らしたことを咎める表情とは全く別の。

ただただ純粋な驚き。



・・俺は、まったく何をやっているんだろうな。



ファラに危害を加えれば復讐になるとそう思って。

けれど、それは、何の関係もないイリアを殺したカルレインとまったく同じ行為。


だが--。