「俺が憎いなら、どうしてファラを巻き込んだ」
合わさった剣を持つ二人の男の腕の力は同等なのか、お互いの筋肉がぴくぴくと震えている。
奥歯を噛み締めているのを悟られぬよう配慮しながら、シドは口を開いた。
「姫君とは、浅からぬ縁ですから」
口の端をつりあげ、不敵に笑うシド。
丁寧な言葉を使ったのは、もちろん挑発だ。
「貴様っ!」
怒りの形相をしたカルレインが力を込めると、二人の間で均衡のとれていた剣が、
徐々にシドの方へと傾き始めた。
押されたシドが、歯を食いしばってそれに耐える。
必死で応戦しながらも、カルレインの背景にファラが祈るような瞳をして自分たちを見ているのが目に入った。
カルレインの過去も知らず、払った犠牲を省みるどころか、知ろうともしない。
ただ、溺愛されて、のほほんと平和に育てられた王女。
だからこそ、ファラが、憎くて堪らない。
そう思っていたのに。
「血の繋がっていない娘を、どうしてそんなに可愛がる!
ホウト国との友好関係を築くためだけに、この地へ寄こした娘だろうが!」


