シドが頂上にたどり着くまでの間、ソランは弓の構えをときはしなかったが、
同時に、矢を放つこともしなかった。
シドの動きを見逃さないように、ただ静かに燃えるような瞳で、彼が登って来るのを辛抱強く待った。
シドは、ソランたちも登って来た緩やかな傾斜の岩を踏みしめて、ゆっくりと歩いてくる。
反対側は切り立った崖になっていて、かなりの高さがある。
落ちれば、ひとたまりもないだろう。
頂上とはいっても、さほど広い平面があるわけではない。
いくつもの岩が並んでいるその場所に、ようやくシドが降り立ったとき、
天からの恵みが、いっそう強く彼らの体を打ちつけ始めた。
「兵士はどうした?」
シドは、息を整えながら、カルレインに鋭い眼光を向ける。
岩場に隠れているのだと思っていた兵士たちの気配を、いっこうに感じない。
カルレインの斜め後ろにソラン。
そのずっと後方に、ファラとレリーの姿が岩の隙間から見え隠れしている。
ソードは、どうやら体を縛られているようで、何か言いたげな瞳で、こちらを眺めていた。
「お前ごときを相手にするのに、いちいち兵など連れてくるわけがないだろう」
カルレインの挑発に、一瞬でシドの体温が、極限まで上昇する。


