【天使の片翼】


夜目は利くほうだ。剣には、ちょっとばかり自信がある。


ファラは、疾走した。

土地勘のない街を灯りも持たずに飛び出した自分の無謀さなど、少しも考えることなく。


複数の足音に行き会わないよう、細心の注意をはらい、

ファラは、追われている男がいるであろうと思われる地点へと、たどり着いた。



・・ええと、この辺りのはずなんだけど。



見当をつけた場所まできたのだが、男の姿はない。

そもそも上から眺めていたのと比べて、思った以上の視界の暗さだ。


さっきは追っ手の持つ灯りが、暗い夜道に目立っていたせいで、

明るく感じただけなのかもしれなかった。


呼吸を整えながら、次の手を考える。


その時、視界の隅に、黒い物体がうごめくのを捕らえた。