【天使の片翼】




・・何かしら?



ファラはすぐさま露台の端により、ずり落ちそうなほどに身を乗り出して、道を眺めおろした。



・・誰か、追われているのだわ!!



一人の男が、ふらふらと道を蛇行しながら必死で走っていくのが見える。

その前後から、大勢の男たちが、灯りを手にして距離を詰めている。



・・いけない!

そのまま進んだら、挟み撃ちにされる!



思ったときには、すでに体が動いていた。


寝台に枕を投げ入れて、布団をかぶせる。

これでなんとか、自分の不在をごまかせるだろう。


ファラは、机に立てかけるようにして置いていた剣を流れるように掴むと、

まるで、風神のように部屋を走り抜け、そのまま一目散に宿を出た。


見下ろした際に、叩き込んだばかりの街の地図を頭の中に展開させると、

追われていると思われる男を目指して、走り出した。