「必要があれば、二人とも殺して構わん」
ルビドの命令に、男はしばし、瞳を閉じた。
「それはつまり、ソード様を犯人として、ファラ王女を殺してしまって良いということですね?」
男が念を押すと、ルビドは気だるそうに、そうだ、と答えた。
・・ふん、人間の皮をかぶった豚め!
いや、たとえられた豚の方が、文句を言ってくるか。
男の沈黙の意味を履き違え、ルビドは小馬鹿にしたように薄く笑う。
「カルレインに勝つ自信がなくなってきたのか?
それとも、もしやソードに仕えて、情が移ったとか言うのではあるまいな」
「まさか!私は、ルビド様の忠実な僕でございます。
自信ももちろん、ございますよ。誰よりもあの男を憎んでおりますから」
念のための対処をお伺いしたまでです、と言葉を続け、
男は、慌てることなく、いつものように慇懃な態度で応じる。
その瞳からは、男のどんな感情も漏れ出してはこない。


