【天使の片翼】




・・僕は、どうしたんだ?



急に、鳴り出した心臓の音が、体中に、振動している。


美しく、着飾っていた方が、お姫様のように見えた。

それは、間違いではない。

最初にその姿を見たときは、素直に綺麗だな、って思ったはずだ。

それなのに、どうして・・・。


ソランが答えを見つける前に、ファラが声をかけた。


「ほら、ソラン!

ぼっとしてないで、出発するわよ」


「あ、ああ」


ソランが騎乗すると、隊列はもとのように、歩を進めた。


ソランは、両手で自分の頬を、ぱちんと叩く。

自分の事など、考えている場合ではない。

ここから先は、いよいよホウト国との国境だ。

自分たちの態度の一つ一つが、ひいては、カナン国の評価に繋がる。


ソランは、両肩に乗る重責を感じながら、顔を引き締めた。