【天使の片翼】


「ソード王子を、助けてさしあげたくはないですか?」


「どうすれば、いいのですか?」


反射的に、レリーは答えた。

助けたくないかと問われれば、そんなもの、もちろん答えは決まっている。


ねっとりとした時が、流れた。


シドの言葉は、レリーの耳から侵入し、血液とともに体を自由自在に巡っているように思える。

痺れ薬のように全身の抵抗を一つずつほぐしていった後、

すでに、支配者の顔をして、シドは悠然と笑みを見せた。


「できますね?」


言葉遣いだけはいつもと変わらず丁寧なのが、かえってレリーの恐怖心を煽る。

それでも、勇気を奮い立たせ、一つだけ質問した。


「ファラ様に、何をなさるおつもりですか?」


「大丈夫。無体なことはしませんよ。

ちょっとカルレイン王を脅かして、ソード様の身の安全を確保するだけですから」