レリーは、そっと振り返って声の主を見た。
男の匂いを感じさせる、危険な、けれどもどこか魅惑的な微笑を浮かべた男。
「シド様」
「どうしました?泣いているなんて。何かありましたか?」
いえ、なんでもありません、とレリーが小さな指で目頭を拭いた。
優しげに近寄るシドに、心の中を何もかもさらしてしまいたい衝動に駆られる。
しかし、本能のどこかがそれに立ちふさがって、
レリーを身の危険から守ろうと踏ん張っているようだった。
「シド様のほうこそ、私に何か御用ですか?」
「いや、この間、ソード様に花を摘んでこなかったかと思いましてね」
さっと、レリーの顔色が変わったのを見て、シドの唇が笑みを刻む。
「やっぱりあなたでしたか。
ソード様はファラ様が置いていったと勘違いしてらっしゃるみたいだけど、
私はなんとなく、レリーじゃないかと思ったんですよ」
「どうして・・・」
その言葉が肯定を意味すると気づいて、レリーは蒼白になった。
小さい体が、ちぎれて飛んでいきそうだ。


