【天使の片翼】


その扉は、レリーとファラの心の距離を示しているように見える。


「レリーは、ソードのことが、好きだったんだ」


幼馴染が好きだと頬を染めていたレリー。


閉ざされた扉は、二度と開かれないかもしれない。

ファラは、その場にしゃがみこんだ。


肌触りの良い敷物の上で、ぼんやりと部屋を眺める。


目に留まったのは、複雑な模様の入った花瓶。

そこに活けられているのは、今朝レリーが摘んできてくれた花だ。


自分にはとうてい不釣合いな代物。


「自業自得だね。

私って、ほんと、どうしてこんなに愚かなんだろう」


レリーは、自分の気持ちを隠して、自分に一生懸命仕えてくれたのだ。

自分とソードの並ぶ姿を目にして、どんなにか、辛かったことだろう。


「ファラ」


ソランが、しゃがみこむ気配がする。


「頭の中は自分のことばっかりで、思いやりなんて欠片もなくて。

私のこと大事にしてくれる人に、恩返しどころか、後ろ足で砂をかけるようなまねして」