【天使の片翼】


本当は、自分がここまで情緒不安定になるもう一つの原因にも、

ちゃんと、心当たりがあった。


リリティスが倒れたその原因。

それにより、カルレインはホウト国へは来なかった。


カルレインは、自分よりも愛すべき、次の存在に目を奪われたのかもしれない。



・・私、捨てられるのかな。



国のため、民のための政略結婚。



・・嘘だ、そんなの。



心の奥底を穿り返せば、見たくもなかった自分の醜い一面に突き当たる。

それは、この国の砂漠に眠る水のように、

見えてはいなくても、地中深くに存在している。


けれど、この貴重な水と違って、自分の根底にあるのは、どろどろと粘りつくような汚泥だ。