【天使の片翼】


それは、エリシオンが帰国した日。

ルビド王と話す機会を与えられたときのことだ。


『エリシオン王子には伝えたのだが、ソードとファラ王女は、ずいぶんとうまくいっているようだし、

半年といわず、来月にでも結婚を決めてはどうかな』


それは、ファラにとっては、唐突過ぎる提案だった。

まだ、あと5ヶ月ある、そう思っていた心の余裕を一気になくしてしまった。


ルビド王の言葉で、自分がしていた結婚の決意など、

吹けば飛ぶような、薄っぺらなものだったのだと思い知らされた。



・・私、ちっともわかってなかったんだ。



両国の橋渡しとして、政略結婚をする。

子供を産み育て、良き妻、良き母になり。

幼い頃から良妻賢母のリリティスを見て育ったファラにとって、

それは、あまりにも当たり前で、疑問をさしはさむ余地のないことだった。


けれど。



・・結婚すれば、もちろんソードと口付けたりするわけよね。



具体的な内容を知っているわけではなかったが、

シドにされた以上の事を、ソードにされるのだと言う想像だけはついた。