【天使の片翼】


ルビド王の席は、闘技場よりも数段高い位置にしつらえられていたが、

その隣には、2桁を越すといわれる妃たちではなく、

各国の招待客で、埋め尽くされていた。


そうそうたる面子が揃う中で、ルビドのすぐ隣には、

ひときわ若い、端正な顔立ちの男が座っている。


王の隣ということは、ホウト国にとって、もっとも重視すべき相手ということだろう。

その証拠とでも言うように、たくさんの侍女たちが、ひっきりなしに食べ物や飲みものを手に、

入れ替わり立ち代わり、彼に給仕していく。


「どうですかな、エリシオン殿。

お父上同様、かなり剣の腕が立つとお聞きしておりますが、わが国の兵士たちは」


ルビドは上機嫌で、隣にいるエリシオンに、ほんのりと赤らんだ顔を向けた。


そこに、牽制の意味あいが含まれているのかどうか、

人のよさそうな、ルビドの笑顔からは、判断がつかない。