ソランは、もう何日も、彼の背後にいる人間を調べようと、
少ない時間をやりくりして、彼について調べていた。
王宮に仕えている彼が、単独で宿を襲いに来たとは、考えられないと思ったからだ。
が、
シドについてわかったのは、5年前からソードに仕えていることと、
人当たりがよく、剣の腕が立つことだけ。
それ以外は、女好きで、一度に何人もの女性と付き合ってるとか、
彼を取り合って女性同士が刃傷沙汰をおこしたとか、実は山賊だったとか、くだらぬものばかりだ。
生い立ちや生まれも不明で、ソードに仕えることになった経緯さえはっきりしない。
噂ではソードがどこかから拾ってきて、以来忠実に仕えているというのだが・・。
土地勘もなく、知り合いもいない場所で情報を集めるということが、こんなにも大変なことなのだと知り、
ソランは改めて、自分が世間を知らない子供なのだと痛感した。
あまり考えたことがなかったが、カナンでは、長年王と王妃に仕えた両親のおかげで、
自分は、その恩恵にあずかっていたのだ。
何も言わなくても、自分を見れば、たいていの人間は快く従ってくれた。
ソランは、決意を新たに、きりりと眉をあげた。
子供でいられる時間は、すでに終わりを告げた。
ここは、カナンではなく、自分は、ファラを守るためにやって来ているのだから。


