【天使の片翼】


そんなソランの様子を見て、シドはくすりと笑うと、柔和な顔で低い声を出した。


「もう一度、あなたと真剣に勝負できるのを、

楽しみにしていますよ」


はっとして、目を見開いたソランを尻目に、シドは取り巻きの女たちを引き連れて、

楽しそうに笑いながら、去っていった。


『シド様、あの方、お強いんですの?』

『あら、シド様が優勝なさるに決まってるわ』

などという、女たちの媚びた声が、遠ざかっていく。



・・あの男、やはり!



最初に会って、剣筋を見たときから、確信は持っていた。

だが、確証はない。


ホウト国の王子付きである、シドを、証拠もなく罪人として訴えることは出来ない。



・・ファラを狙っているのは、間違いないのに!



ソランは、拳を握り締め、唇を噛み締めた。