【天使の片翼】


わああぁぁぁ、という声の連鎖が、うねりをあげて、ファラに近づいてくる。

それを、どこか他人事のように、感じながら、

あぁ、左の兵士が勝ったのか、とだけ思った。


シドは、自分に会いに来たのではなかった。

たった、それだけのことなのに。


いつまでも、そんなことを引きずっている自分が、わからなくて、

ファラは、無性にカルレインに会いたくなった。


父の胸の中ならば、きっと、こんなもやもやした気持ちなど忘れて、

すぐに、いつもの自分に戻るに違いない。


ファラ様、という声に我に返ると、ソランが胸当てをつけ、戦に赴くような格好をしている。

そう、目の前の兵士たちと同じ。


「え?ソランってば、大会に出るの?」


ファラの言葉に、ソランは、むっとしたように眉根を寄せた。


「昨日、カナン国代表として、特別枠で出場しますと、お伝えしたはずですが」