【天使の片翼】


カキーン、ガキッ、という、剣の合わさる音が、やけに遠くに聞こえる。

手に汗握る展開なのか、会場は、しんと静まり返っている。


ファラは、先日の夜、シドが外から自分の部屋を訪れていた事を、思い出した。





『ただ、あんたに会いに来たかっただけかもな』


あの時、シドは確かにそう言った。


だが、シドが帰った後に、露台に残されていたもの。

いつの間にか、置いていったのだろう。


それは、ソードと手合わせをしたときに、シドに手渡した自分の剣だった。

ソランの姿が見えて、まずいと判断し、とっさにシドに渡してしまったもの。



・・な~んだ。

剣を返しに来ただけだったんだ。



そのために、シドは自分に会いに来たのだろう。

そう知ったとたん、ファラの心の中に、ぽっかりと穴が開いた気がした。