【天使の片翼】


「この大会は、一般の兵士が腕を競うために設けられたものなのですよ。

兵士以外に出場する権利は、ありません。


もちろん、あなたも出られませんよ。ファラ王女」


あどけなさの中に、ほんのわずかのとげを上手に織り込み、

ソードは、まがい物の優しい笑みを見せる。


「そうなんですね・・・」


くってかかられるだろうと想像していたソードは、ファラの素直な言葉に、

毒気を抜かれた。


父親に会えなかったことが、そんなにも衝撃的な要因になるのだろうか。

自分など、親の存在は、わずらわしい以外の何者でもなかったと思うのに。


まさか、この大会に、本気で出たかったというわけでもあるまい。


「そういえば、王女は、いつもおつきの武官に持つなと叱られている剣を、

今日は、お持ちでないようですね」


もう一度、つっかっかる機会を与えてみようなどと、ソードは、気まぐれに思ったが。

剣の話が出たとたん、ファラは、はっとしたように顔を上げて、すぐに俯いた。


「そう・・ですね」