【天使の片翼】


「それでは、ただ今より、

ルビド王御前での、武術大会を始めさせていただきます!」


進行役を務める兵士の一人が、王に頭を下げた後、大きな声で宣言した。


オォ~という、耳をつんざくほどの歓声が沸き起こり、

人々の盛大な拍手が、後に続く。


その中で、最高潮の笑顔を振りまくだろうと予想された少女は、

怒っているのか、落ち込んでいるのか、はたまた悲しんでいるのか、

複雑な表情で、椅子に腰掛けていた。


「どうしましたか、ファラ王女。

お顔がすぐれない、おおっと失礼、お顔の色がすぐれないようですが」


ファラの隣に座る、ソードは、おもしろそうに、話しかける。

ファラのご機嫌が斜めな理由を、とっくに知っているのだ。


「全然、どうもいたしませんわ」


絶対、わざと間違えただろうと、頬を引きつらせながら、

ファラは、おほほ、としのいでみせる。



・・父様の馬鹿。



ホウト国に招待されたカルレインは、代理として、息子のエリシオンをよこし、

自分は、カナン国に残って姿を見せなかった。