【天使の片翼】


まるで、さわやかな白い雲が、服を着て歩いてきたかのような顔で。


いやぁ、お見事、さすがファラ王女、と言いながら、

シドは、左胸の前で、優雅に両手を打った。


「カナン国というのは、本当に男女平等に育てられるのですね。


これでは、か弱い女性には手を上げてはならぬと、厳しく育てられたソード王子は、

一生、勝つのは無理そうですね」


拍手をやめると同時に、

わざと負けて差し上げるだなんて、王子もすっかり男になられて、

と、シドはしっかりと、付け足すことも忘れない。


『まぁ、わざと勝ちをお譲りになったのね』


『そんなにも、王女をお気に召されたのかしら』


『ソード王子のお優しいこと!』


侍女たちの口からは、次々にほほえましい会話が生まれる。

厳しい表情からうって変わり、小動物をかわいがるような目つきで。